『相手に伝える』ということは非常に難しく、奥の深い作業です。
自分自身の中には日々「相手に知ってほしいこと」がたくさんありますよね。
その内容を説明した時に相手から、
それで、結局あなたは何が言いたいの?
と言われてしまった経験、あなたはありませんか?
おそらくそれは、起こったことを“一つずつ”、”丁寧に”、”時系列”で話しているからではないでしょうか。
相手にとっては、
- 「結論」がわからない
- 結論までの道筋が「根拠」を伴っていない
- 「不要」な情報が多い
- 最終的に、自分(聞き手)は「何を」すればいいのかわからない
ことから、”あなたが何を言いたいのかわからない”といった状況に陥っています。相手も困っているのです。
こういった状況は、伝える側のみならず、相手(聞き手側)も不幸です。
このように「一生懸命、相手に伝えようとしているのに伝わらない」という悩みを抱えている方に、今回は『相手に確実に理解してもらい、かつ、動いてもらう説明の方法』を解説している本をご紹介します。
今回ご紹介する本は、
『1分で話せ』 伊藤羊一著
です。
本書『1分で話せ』とは
本書は”相手に伝わる”説明ができるようになるための参考書です。
具体的には、
- そもそも、「伝える」ことのゴールは何であるべきなのか
- 伝える側として「持つべき姿勢」や「考え方」
- 伝え方の「具体的な手法」
を解説している本です。
「なぜ相手に伝える必要があるのか」という、非常に重要で常に意識しておく必要のある本来の目的を解説してくれています。
この本来の目的を理解していなかったり、見失ってしまっているがために、相手に伝わらない説明になってしまっている場合が多くあります。
この「目的」や「伝える側の姿勢」を丁寧に解説してくれている点が、手段やテクニックだけが書かれている他の参考書と違う点です。
本書のタイトルである『1分で話せ』といういう意味は、
『1分間で相手が理解できるように話を組み立て、伝える』
ということです。
著者である伊藤洋一氏は、本書の中で以下のように述べています。
私が思うに、
「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」
逆にいえば、
「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」
ということなのです。
『1分で話せ』 伊藤羊一著 P.20
また、自分が思っている以上に相手は話を聞いていませんし、理解もできていません。
それは仕方がないことです。
そういった状況でも、相手には理解してもらい、動いてもらう必要があるので、伝え方を工夫するしかないのです。
それには、『簡潔、かつ容易』に理解ができるような説明をする必要があります。
これが「1分間で話す(伝える)」ことにつながってくるのです。
また、「具体的な説明の手法」については、
- 確実に伝えるための『話の組み立て方』
- 相手を混乱させる『本来説明する必要のない話』の削り方
- 相手に状況をイメージさせ、さらに『動いてもらうテクニック』
といった内容を詳しく解説しており、すぐに実践に取り入れることのできる内容が多く記載されています。
説明するスキルを向上させる本や、プレゼン関連の本の中でも良書だと思います。
本書『1分で話せ』から得た内容
- 「伝える」ことの目的は「聞き手を動かすため」
- 伝わる話の組み立て方は「主張 – 根拠 – たとえば」
- 「相手が知りたいこと」”のみ”を話す
- 相手の立場に立って説明をする
①伝えることの目的は「聞き手を動かすため」
伝えることの目的は、「相手に理解してもらうこと」ではないですよね。
相手に理解してもらった上で、「相手に何かをしてもらう」ことが目的です。
この目的を見失ってしまうと、
言いたいことはわかった。だからなに?
という説明になってしまうのです。
この本来の目的をどんな時でもまずは意識したうえで、説明する話の道筋を立てる必要があります。
②伝わる話の組み立て方は「主張 – 根拠 – たとえば」
相手に1分で話の内容を理解してもらうために、ピラミッド構造で話を組み立てます。
組み立て方は
「主張 – 根拠 – たとえば」
です。
構成としては「主張(1つ) – 根拠(3つ) – たとえば(根拠に対して2つずつ)」
このピラミッド構造を組むことで、話す内容の過不足を防止し、筋の通った相手に伝わる説明をすることができるようになります。
本書では、このピラミッド構造の話の組み立て方やコツを解説しています。
③「相手が知りたいこと」”のみ”を話す
上司や誰かに成果を報告するときに、結論に至るまでの紆余曲折って話したくなりますよね。
ましてや汗水たらして走り回ってやっとの思いであげた成果であればなおさら。
「どんな困難なことがあって」「どんな努力をして」といったことを知ってほしい気持ちが大きくなるのは人間の性というものです。
ただ、その伝える側の”思い”は、聞き手にとっては不要な情報です。
話が長くなるだけでなく、聞き手が混乱し、結論までの道のりで迷子になってしまう可能性があります。
④相手の立場に立って説明をする
「相手がどういう気持ちで自分の話を聞いていて」「今自分は相手からどう見えているのか」ということを説明しながら常に考えることは大切です。
自分が”正しいと思っていること“を一方的に話すだけでは相手には伝わりません。
説明を聞いてくれている相手の気持ちを理解することで、初めて”伝わる“のです。
相手の気持ちになって考えることが大切です。
- 一人よがりの説明になっていないか
- 話の迷子になってしまうような説明になっていないか
- 堂々とした態度で、組み立てた通りに話ができているか
説明の途中に、自分と相手を客観的に見て、至らない点は説明の途中でも補正していくべきです。
さいごに
本書を読むことで『相手に伝わる話の組み立て方』を学ぶことができます。
そして、伝えることの本来の目的である「相手に動いてもらう」ための説明をする手段を学ぶことができます。
社会人であれば「説明をする」「何かを相手に伝える」という機会は日々多くあると思います。
もし、「説明する」「伝える」方法についてあなたが悩んでいるのであれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。
きっと力になってくれるはずです。