『相手に何かを伝える』ということは非常に難しく、奥の深い作業です。
自分自身の中には日々『相手に知ってほしいこと』がたくさんありますよね。
その内容を説明した時に相手から、
それで、結局あなたは何が言いたいの?
と言われてしまった経験はありませんか?
おそらくそれは、起こったことを「一つずつ」「丁寧に」「時系列」で話しているからです。
相手にとっては、
- 根拠を伴った”結論”がわからない
- 不要な情報が多い
- 結局自分に何をしてほしいのかわからない
ことから、”あなたが何を言いたいのかわからない”といった状況に陥っています。
相手も困っているのです。
こういった状況は、伝える側のみならず、聞き手側も不幸です。
このような状況を打破するために、「相手に確実に理解してもらい、かつ、動いてもらう説明の方法」を解説している本をご紹介します。
今回ご紹介する本は、
『1分で話せ』 伊藤羊一著
です。
本書『1分で話せ』とは
本書のタイトルである『1分で話せ』といういう意味は、
『1分間で相手が理解できるように話を組み立て、伝える』
ということです。
相手は、自分が思っている以上に話を聞いていませんし、理解もできていません。
それは仕方がないことです。
そういった状況下でも、相手には理解してもらい、動いてもらう必要があるので、伝え方を工夫するしかないのです。
それには、『簡潔、かつ容易』に理解ができるような説明をする必要があります。
これが「1分間で話す(伝える)」ことにつながってくるのです。
本書は
- 確実に伝えるための『話の組み立て方』
- 相手を混乱させる『本来説明する必要のない話』の削り方
- 相手に状況をイメージさせ、さらに『動いてもらうテクニック』
といった内容を詳しく解説しており、すぐに実践に取り入れることのできる内容が多く記載されています。
説明力を向上とする本や、プレゼン関連の本の中でも良書だと思います。
本書『1分で話せ』から得た内容
- 伝わる話の組み立て方は「主張 – 根拠 – たとえば」
- 「相手が知りたいこと」”のみ”を話す
- 相手の立場に立って説明をする
①伝わる話の組み立て方は「主張 – 根拠 – たとえば」
相手に1分で話の内容を理解してもらうために、ピラミッド構造で話を組み立てます。
組み立て方は
「主張 – 根拠 – たとえば」
です。
構成としては「主張(1つ) – 根拠(3つ) – たとえば(根拠に対して2つずつ)」
このピラミッド構造を組むことで、話す内容の過不足を防止し、筋の通った相手に伝わる説明をすることができるようになります。
本書では、このピラミッド構造の話の組み立て方やコツを解説しています。
②「相手が知りたいこと」”のみ”を話す
上司や誰かに成果を報告するときに、結論に至るまでの紆余曲折って話したくなりますよね。
ましてや汗水たらして走り回ってやっとの思いであげた成果であればなおさら。
「どんな困難なことがあって」「どんな努力をして」といったことを知ってほしい気持ちが大きくなるのは人間の性というものです。
ただ、その伝える側の”思い”は、聞き手にとっては不要な情報です。
話が長くなるだけでなく、聞き手が混乱し、結論までの道のりで迷子になってしまう可能性があります。
③相手の立場に立って説明をする
「相手がどういう気持ちで自分の話を聞いていて」「今自分は相手からどう見えているのか」ということを説明しながら常に考えることは大切です。
自分が”正しいと思っていること“を一方的に話すだけでは相手には伝わりません。
説明を聞いてくれている相手の気持ちを理解することで、初めて”伝わる“のです。
「相手の気持ちになって考える」ことが大切です。
- 一人よがりの説明になっていないか
- 話の迷子になってしまうような説明になっていないか
- 堂々とした態度で、組み立てた通りに話ができているか
説明の途中に、自分と相手を客観的に見て、至らない点は説明の途中でも補正していくべきです。
本書では、サッカーの本田圭佑選手がACミラン移籍時に語った「リトル・ホンダ」を例に「客観の自分」について解説しています。
さいごに
本書を読むことで『相手に伝わる話の組み立て方』を学ぶことができます。
説明することに悩んでいる方や、伝える力を向上させたいと考えている方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。