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【SE向けおすすめ本レビュー】『Team Geek』|Googleのチーム作りのノウハウを学べる本

 

システムエンジニアの方向けに、仕事やスキルアップに役立つと考える本をご紹介しています。

今回ご紹介する本は、

Team Geek Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

です。

まとめ
  • 優れたシステム開発のチーム」を作るために参考となる本
  • 本書はソフトウェア開発の「人間的」な部分にフォーカスを当てている
  • 基本的な考え方は「謙虚」「尊敬」「信頼」の三本柱

本書をオススメする人

システム開発者、ソフトウェア開発者で、かつ以下のような考えを持っている、立場の人

  • 優れたシステム開発のチーム」を作りたいと考えている
  • チームで活動し、チームをより良い方向に導きたいと考えている
  • チームを取りまとめる立場である(PMなど)

 

本書『Team Geek』の内容

優れたシステム開発のチーム」をいかにして作るのか、具体的に説明してくれている本です。

本書の目的は、プログラマがソフトウェア開発を効果的かつ効率的にするために、他人の理解・コミュニケーション・コラボレーションの能力を向上させることである。
出展元:Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか P.ⅩⅠⅩ

筆者である、Googleに勤めるBrianとBenの二人が、過去に自身が経験してきた内容を基に「よりよいチームを作るには」といった観点で説明が進んでいきます。

なお、Google社内の共通ルールや文化について書かれたものではありません

チーム文化の作り方や、チームリーダーとしてどういった考えのもと、どのような行動を取ればいいのかといった内容が具体的に記載されています。

基本的な考え方は「謙虚」「尊敬」「信頼」

著者は、チームで働く時のポイントとして、以下の3本柱を身に付ける必要があるとしています。

  • 謙虚(Humility)
  • 尊敬(Respect)
  • 信頼(Trust)

著者は、この3つを合わせて「HRT」(ハート)と呼んでおり、本書に一貫して登場させて、大切さを説いています。

あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ。
出展元:Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか P.15

本書の構成 素晴らしいチームを作るまでの手順

本書は全6章で構成されています。

  1. 天才プログラマの神話
    ⇒ソフトウェア開発はチームスポーツで、協力することが必要。
    人は少なからず、「自分の成果にしたい」「完成するまで隠しておきたい」「天才と思われたい」などと個人の利益に目が行きがちだが、システム開発は『チームがすべて』であることの大切さを説いている章。
  2. 素晴しいチーム文化を作る
    ⇒チームの文化と必要性について説明している章。
    ここでいう「文化」は、「ルール」とは異なり、著者は「エンジニアリングチームが共有する経験・価値・目標」と説いている。
    概念のみならず、具体的な方法、ツールも紹介してくれている。
  3. 船にはキャプテンが必要
    ⇒リーダーに「なってしまった」エンジニアのために、リーダーシップの「パターンとアンチパターン」「モチベーション」について説明している章。
  4. 有害な人に対処する
    ⇒チームの文化を破壊する外部の力から、チームを守る方法について説明している章。
  5. 組織的操作の技法
  6. ユーザーも人間
    ⇒自身らが作成したシステムの利用者=ユーザーとの正しい接し方を説明している章。
    システム開発者は、自分たちの作ったシステムに自信を持っており、システムのことを詳しく知っている。それ故に、視野が狭くなり、自分たち目線で話を進めてしまうことが多いが、一番考えるべきはユーザーであることを説いている。

本書を読んだ感想

自身がシステム開発のチームをコントロールする立場であるならば、読んでおくべき一冊だと感じました。
本書を読むことで、自身のチームへの関わり方を見直す機会になると思います。

また、人間誰しもが、多かれ少なかれ利己的な考えのもと行動することがあると思います。
例えば「自分の功績にならないのであれば、アイディアを広めたくない」などといった考えを持ってしまうことは多々あると思いますし、人間ですから仕方がない部分でもあります。
ただし、そういった考えが引き起こす弊害やデメリットを、第三者である本書が文章として読者に明確に伝えてくれるので、改めて自身の考えと行動を改めるきっかけになります。

また、自己啓発本にありがちな「精神論やリーダーシップの発揮の仕方」といった抽象的な記載でないため、自身が取るべき行動がイメージしやすいと思います。

ぜひ、「よりよいチームを作りたい」と普段から考えてる方、または悩んでいる方がいらっしゃったら、本書を読んでみてください。