「正しく伝える力」を身につける方法を学ぶ
システムエンジニアであれば「人に説明をする」という機会は多くありますよね。
現場では、システムの仕様説明や進捗報告、事態説明、レビューなど…
挙げはじめたらキリがないくらい「相手に何かを説明する」という機会は多いと思います。
そういった、人に何かを「説明する」「伝える」ということが、あなたは自信を持って、上手にできていますか?
中には説明や伝えることがうまくできず、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、悩みを解消するために、説明や伝え方に関する参考書や自己啓発本を読んで勉強してきた方も多いと思います。
ただ、説明のテクニックに関する参考書は多く売られていますが、
説明する力を高めるために
- 日々どういうことを意識したらいいのか?
- どういうことを準備したらいいのか?
という点にフォーカスした本は少ないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、そういった方向けに「相手に正しく伝える力」を高める方法を学ぶことができる本をご紹介します。
今回ご紹介する本は、
『伝える力』 池上彰著
です。
「伝え方」を向上させるための具体的な手法を学ぶことのできる本
- 「説明する時のテクニック」より、「事前準備や普段の考え方」にフォーカスを当てている
- 相手に正しく伝えるために、どういった準備をすべきなのかを学ぶことができる
- 相手に説明する、文書を作成するうえで注意すべき点を学ぶことができる
本書をオススメする人
- 説明がうまくできないと悩んでいる方
- 「説明が下手」と指摘を受けている方
- 説明下手を改善したいけれど、具体的にどうすればいいのかわからない方
- “相手に伝える力”を高めたい、鍛えたいと考えている方
本書から私が得たこと
私が本書を読んで、特に感銘を受けた内容は以下の3点です。
- 相手に伝わる説明をするには、まず自分が正確に理解しておく必要がある
- 「調べて満足」ではなく「他の人が理解できる」まで
- 「謙虚になること」で気づきと成長が続く
①相手に伝わる説明をするには、まず自分が正確に理解しておく必要がある
何か新しいことを自分で調べたり、本やインターネットから知識を得ても、いざ誰かにその内容を話す時にうまく説明できなかった経験はありませんか?
「あれ?いろいろ調べて理解したつもりだったんだけどな…」
このように、単に調べて、「知った」「覚えた」だけでは不十分なのです。
相手に説明して理解してもらうには、なによりもまず“自分”が深く理解しておく必要があります。
自分の理解が不十分だったり断片的な状態で、相手が理解できる説明ができるはずはありません。
調べて、わかった気になった時は要注意です。一旦振り返ってみましょう。
「本当に理解できているのか?」「表面的な理解で満足していないか?」と自身に問いかけて立ち止まってみることが大切だと思います。
中略
まったく知識のない人にわかるように伝えるには、自分も正確に理解していないと、とても無理です。うろ覚えや不正確な知識、浅い知識では、相手が理解できるはずもありません。
池上彰著 伝える力 P.22
②「調べて満足」ではなく「他の人が理解できる」まで
仕事をしていく中で、知らない言葉を自身で調べる機会は多いと思います。
多くの人は調べて、自身の中で「わかった時点」で満足してしまいがちですが、それでは不十分です。
「調べた内容について、まったく知識のない人に理解してもらうにはどうしたらいいのか」ということまで考えながら調べると、内容に対する理解が格段に高まります。
自分では理解できていたつもりでも、いざ説明してみると抜けやモレが出てくるものです。
「当たり前のことだと思っていた」
「理解出来ていたと思い込んでいた」
「その観点では調べていなかった」
といった、「抜け」や「漏れ」を洗い出すことができ、結果的に全体を俯瞰して広く正しく理解することが出来るようになるのです。
③「謙虚になること」で気づきと成長が続く
職場で評価されたり褒められたりすると、仕事ができる気になって天狗になってしまいがちです。
「あの人の説明はわかりにくい。自分の方が上手だ」
「誰もが簡単に理解できる、素晴らしい報告書を作ることができた」
努力を重ねて、改善に改善を重ねた結果であればいいのでしょうが、根拠のない自信や、思い込み、うぬぼれから生まれたものではありませんか?
謙虚になることで、新しいものが見えてきたり、成長が続くのだと思います。
まったく違う視点から物事を見ることができたり、調べた内容に簡単に満足せずにもっと詳しく調べよう、と思うことができるのではないでしょうか。
本書の著者
本書の著者は、池上彰氏です。
経済ニュース番組に多く出演しており、皆さんも一度は池上氏の番組を見たことはあるのではないでしょうか。
時事問題や経済ニュースを前提知識がなくてもわかりやすく解説してくれるので、高い評価を得ている方です。
本書を読んだ感想
本書を読むことで、「伝える力を普段の行動でどう高めるか」という観点を学ぶことができました。
よく言われることですが、相手に伝わる説明をするためにも「事前準備」が大切なんですね。
冒頭にも書きましたが、「話し方」や「伝え方」のテクニックに関する参考書は多くありますが、「普段の行動や、事前の行動でどういうことを意識しておくべきなのか」とう本は少ないと思います。
説明するテクニックではなく、「相手に伝わる説明をするには、まず自身が深く理解できているのか振り返る必要がある」ということを本書から学ぶことができたのは、私自身にとって非常に大きいものでした。
ぜひ、説明や伝え方に悩んでいる方は今回ご紹介した「伝え方:池上彰著」を読んでみてください。